オーストラリア産の花木で、最近は日本でも人気の出てきたエレモフィラは、冬に輝くシルバーリーフが特徴です。
このシルバーリーフが、クリスマス時期の寄せ植えで人気が出ているのです。そんなエレモフィラの基本情報や育て方をご紹介します。
エレモフィラの基本情報
エレモフィラはどんな植物?
エレモフィラはオーストラリアに、約260種が分布する、ゴマノハグサ科エレモフィラ属の常緑性多年草、もしくは低木扱いの植物です。
別名を「ホワイトツリー」といい、260種中1種のみニュージーランドでも分布が見られますが、残り259種は全てオーストラリア固有の植物です。
主に園芸用として栽培されているのは、シルバーリーフのエレモフィラ・ニベア種と、カラフルな花色が人気のエレモフィラ・マクラダ種になります。両種とも、成長すると2~3mにまで育ちます。
高温多湿が苦手なうえ、耐寒性も低いため、日本では大きく育つ前に枯れてしまうようです。
エレモフィラの花期は3月~5月です。花期になると、分岐した上部の枝の葉の付け根から、筒状になった花を咲かせます。花は品種により大きく異なり、丸みを帯びていたり、細長かったりします。
耐寒性・耐暑性ともにあまり高くなく、日本では、どちらかというと鉢植え向きの植物です。本来は乾燥地帯に自生しているため、雨が避けられる場所での栽培が推奨されます。暖地であれば、霜対策をしたうえで、戸外での冬越しが可能です。
エレモフィラの入手しやすい品種
日本で一番入手しやすい品種は「エレモフィラ・ニベア」です。「ニベア」とは、「雪のように白い」という意味があります。「ホワイトツリー」という別名も付いているのですが、これは、エレモフィラ・ニベアの枝と葉が、きれいなシルバーカラーをしているからです。
葉の形がラベンダーの葉のように細長く、縦に大きく伸びる品種なので、寄せ植えや花壇の背景として、とても扱いやすい植物です。このため、近年急速に人気が高まっています。
花は淡い青色から紫色で、シルバーリーフとのコントラストが美しく咲きほこります。春の一季咲きとなっています。
エレモフィラ・ニベアほどではありませんが、園芸種として他に入手できるものに、エレモフィラ・トビー・ベルとエレモフィラ・マクラタがあります。
トビー・ベルはニベアより花が大きく、葉が丸く広いのが特徴です。ニベアより花が密集して咲き、コンパクトな株丈となります。2010年に愛知県の渡会園芸が作出した園芸用の新品種で、春と秋の2回、淡い紫色の花が咲くようになっています。
エレモフィラ・ニベアほど葉に生えた毛が密ではないため、やや緑を帯びたシルバーリーフとなります。
マクラタは、「エミューブッシュ」という英語名でも知られる品種で、オーストラリアに広く分布しています。主に河川沿いの平野部などに自生し、世界で最も普及しているエレモフィラと言えます。
育ち始めはニベアと比べ、葉に生えた毛が少ないので、葉色は若干グレーがかって見える程度です。その後、育つと無毛になるため、緑葉になります。
花色が豊富で、赤・黄・ピンク・白・青などの種類があります。英語名に「エミュー」と付いているのは、花の形がエミューという鳥に似ているからです。花は春の一季咲きです。
エレモフィラの楽しみ方
エレモフィラは、元々オーストラリアの乾燥地に自生している野草ですので、そのワイルドフラワーな花姿を生かして、ナチュラルな寄せ植えとして楽しむことができます。
また、葉や茎が美しいシルバーカラーですので、その色味を生かして、他のカラーリーフと合わせた寄せ植えにも彩を添えてくれます。特にその美しい銀葉は冬の寄せ植えにピッタリですので、葉ボタンやビオラを合わせて寄せ植えにするのもおすすめです。
これをシクラメンやチェッカーベリーと合わせると一気にクリスマスカラーとなります。
元から大きな株で購入した場合、比較的生育が安定し育てやすくなるため、シンボルツリーにも向いています。
常緑のため、周年通してその姿を楽しむことができます。
エレモフィラの育て方【環境・手入れ】
エレモフィラの育て方①置き場所
エレモフィラは元々オーストラリアの乾燥地に自生していましたので、暑さにはある程度の耐性があります。夏は直射日光を避け、風通しの良い半日陰で栽培することをおすすめします。
春から秋にかけては屋外で栽培することができますが、雨には当たらないように注意してください。ニベアやトビーベルは、長雨にさらされると、葉が黒ずんでしまい見苦しくなります。年間を通して雨の避けられる場所が理想です。
冬の寒さは苦手ですので、屋内の窓際で栽培します。なお、窓際は気温の変化が激しいので、あまりにも寒くなるようなら、夜の間だけでも窓際から離すように注意してください。
エレモフィラの育て方②植え付けと植え替え
エレモフィラの植え付け・植え替えの適期は4月~6月と、9月~10月です。
根の成長が遅いため、傷つけると枯れてしまうことがありますので、注意が必要です。植え付け・植え替えは、根鉢を崩さず行います。
植え付けに使う土は、市販の草花用培養土に赤玉土(小粒)かパーライトを2割ほど混ぜ込み、水はけの良い土を作ってやります。
また、鉢植えの場合、2~3年に1度、植え替えを行います。根鉢は崩さず、一回り大きな鉢に、新しい用土を入れて植え替えます。
エレモフィラの育て方③水やりと肥料
エレモフィラは乾燥に強い植物です。庭植えの場合、雨が降るので水やりの必要はありません。鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたら、たっぷりと水をやってください。
肥料に関しては、鉢植えの場合は、春の3月~5月、秋の9月~11月に暖効性化成肥料を月に1回、定期的に置き肥します。庭植えの場合は、特に必要ありません。
エレモフィラの育て方【管理】
エレモフィラの育て方④冬と夏の超し方
エレモフィラは寒さに弱いですが、霜の心配のない暖地なら、そのまま戸外で冬越し可能です。鉢植えの場合は、日当たりの良い軒下などに移動させ、寒波が来るときのみ室内に取り込むようにします。
その他の地域では室内で管理します。3℃以上の室温を保ち、乾燥気味にしておきます。用土の表面が乾いてから2~3日後に少量の水を与えるようにします。
夏越しの場合、エレモフィラは高温多湿にたいへん弱い植物です。梅雨から秋にかけては、長雨にさらされない場所に移動してください。風通しが良く、できるだけ涼しい場所で管理することが夏越しのポイントです。
エレモフィラの育て方⑤剪定
エレモフィラは剪定をしてしまうと枯れるおそれのある植物です。特に株が小さい内や、植え付け・植え替え後などは剪定しないようにしてください。
エレモフィラは性質的に剪定に強くないようです。大きな株になれば、剪定しても枯れるまでにはなりませんが、それでも切った部分から枯れてきてしまう可能性はあります。
樹形が乱れてきたり、間延びしてどうしても剪定したい場合は、「剪定するのは春と秋の花の終わった直後」「株が弱るので夏になる前」「新枝は切らない」の3点に注意して剪定してください。
特に3つ目の新枝は、そこから次の花が咲きますので注意してください。また花が咲かないばかりか、親株にもダメージを与えますので絶対に切らないようにしてください。
エレモフィラの育て方⑥増やし方
エレモフィラの増やし方は、挿し木で増やすことになります。適期は5月頃です。
増やし方の方法は、枝を5~10cm程度の長さに切り、挿し穂にします。下部の葉は取り除いて水揚げします。新しい鉢などに挿し木をしたら、明るい日陰で管理し、用土の表面が乾いたら水やりをして発根を待ちます。
エレモフィラの管理方法をを動画で解説!
エレモフィラの育て方【注意点】
注意点①害虫と病気
特に大きな被害の出る病害虫はありませんが、冬場にカイガラムシが付く可能性があります。予防のために、市販の殺虫剤で、冬期に数回、散布しておくことをおすすめします。
注意点②過湿による根腐れ
エレモフィラは、何度も繰り返し述べているように、乾燥には強いですが、加湿には弱い植物です。梅雨の長雨にあたったり、秋の長雨にあたると根腐れを起こす可能性が高くなります。
エレモフィラの枯れる原因は、水のやり忘れよりも、水のやりすぎによる根腐れのほうが圧倒的に多いのです。
水やりは、基本的に土の表面が乾いてからで、少々水やりを忘れてもかまいません。乾燥気味を心がけてください。土の表面を触って湿っているようなら、水やりは行わないようにします。
枯れにくく育てやすいエレモフィラの栽培に挑戦しよう
エレモフィラは、少しくらい水をやらなくても枯れない丈夫で育てやすい植物です。基本的に葉が枯れて落ちるということがありませんし、エレモフィラ・ニベアなら、クリスマスの飾りつけとしても映える、一年中楽しめる植物です。
気軽に育てられますので、初心者向けともいえます。きれいな葉をつけるエレモフィラは、園芸を始める最初の1株として育てるのに最適です。