ジュズサンゴはヤマゴボウ科の常緑多年草で白い花と赤い実が特徴の品種です。
比較的強い植物で、初心者でも育てやすい植物ですが熱帯植物のためいくつか注意すべき点もあります。今回は、ジュズサンゴの特徴や育て方、植え付け、剪定、増やし方までをご紹介します。
ジュズサンゴ(数珠珊瑚)とはどんな植物?
ジュズサンゴの特徴や品種
ジュズサンゴは、ヤマゴボウ科リビナ属に属する常緑多年草です。葉は長卵形で葉質は薄く長い柄を持ちます。
花は茎の上部から横向きに花茎を広げて、白い花をつけます。鮮やかな赤い実が特徴的ですが、他にもピンク色や黄色の実をつける品種も存在します。
学名は「Rivinahumilis」と呼ばれ、別名ハトベリーと呼ばれています。ジュズサンゴの名前の由来は、数珠の珊瑚玉のような赤い実が連なっている様子が数珠のように見えることからジュズサンゴと呼ばれるようになったそうです。
日本では小笠原諸島などの温かい地域で自生していますが、原産地である南米では湿った場所などにも生息しており、耐陰性があります。草丈は大きくなると1メートル以上にもなります。
主な原産国はメキシコやブラジルなどの熱帯アメリカで、日本には大正時代初期に渡来したといわれています。
ジュズサンゴの花期は6月~10月、果実が実るのは9月~11月頃です。白い花と赤い実が同時に実って、長い期間楽しむことのできる品種です。
育てやすく丈夫な植物
ジュズサンゴは暑さに強い植物で日当たりのいい場所を好みますが、耐陰性があり湿った日陰でも育てることができます。ただし、日光にあまり当てないと花付きが悪くなることもあります。
寒さにやや弱く対策が必要ですが、地上部分が枯れても根が枯れなければ春になって再び芽を出してくれます。
夏の強い日差しや強い霜などに弱い面もありますが、庭や植木鉢で育てることが可能で、虫などにも強い植物なので初心者でも育てやすい部類の植物です。
ジュズサンゴの育て方【準備~手入れ】
ジュズサンゴの育て方①土づくり
ジュズサンゴは日当たりがいい場所を好みますが、真夏の強い日差しに当たると葉焼けを起こし葉の色が茶色に変色してしまう場合があります。
そのため、夏場は午前中に日当たりのいい場所で、半日は日陰になる場所というように季節によって移動できるよう鉢植えでの栽培が適しています。
植え付ける土壌は、ジュズサンゴは酸性の土壌が適しています。鹿沼土やピートモスを混ぜて土壌を酸性に傾けておくとよいでしょう。
市販されているブルーベリー用の土やサツキの土など酸性に調整されている土などを用いると便利です。
ジュズサンゴの育て方②植え付けと植え替え
植え付けについては、夏場に苗が出回ることが多いのでポット苗などを購入するとよいでしょう。
ポット苗で購入した場合は大きめの鉢植えに植え替えておいてください。苗は夏場の暑い時期に販売することが多いので、水切れに注意が必要です。
水はけが悪い場合は、前述した酸性土壌に加えて腐葉土を混ぜ込み水はけのよい環境を作ってください。
植え替えについては、鉢植えの場合は根詰まりすることもありますので、少し大きめの鉢に植え替えをしましょう。庭植えの場合は気にする必要はありません。
ジュズサンゴの育て方③水やり
庭植えの場合は、根がしっかり定着すれば夏場以外であれば降雨のみで十分です。夏場で晴れの日が続く場合は水切れしないように水やりしましょう。
あまりに何度も水切れさせてしまうと成長が止まったり枯れてしまうこともあるので、水やりには注意が必要です。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたときにたっぷりと水を上げてください。乾燥に弱い植物ですので同時に葉水をするとよいでしょう。
冬は根の生育が鈍ります。あまり水をあげすぎるのもよくないので土の表面が乾いてから2~3日程度経過した後での水やりで問題ありません。
ジュズサンゴの育て方④肥料
肥料については、植え方に関係なく生育期の5月~6月に液体肥料を2~3週間に1回程度の頻度で行うとよいでしょう。与える肥料は緩効性肥料が適しています。
肥料は多すぎても少なすぎても良くないので、難しいところがあります。肥料が多すぎると、枝葉が増えすぎてしまいせっかくの鮮やかな赤い実や白い花の数が減り、風情を損なう可能性がありますので注意しましょう。
ジュズサンゴの育て方【管理】
ジュズサンゴの育て方⑤環境
ジュズサンゴは比較的強く育てやすい植物ではありますが、その特徴から育てる環境に少し注意を払う必要があります。
ジュズサンゴはよく日光に当てると花付きがよくなるのですが、夏の強い日差しなどにさらされると葉焼けを起こしてしまいます。夏の間は特に日の当たりすぎる場所を避け、半日陰若しくは明るい日陰になる場所を選んで育てるとよいでしょう。
ジュズサンゴを上手に育てるためのポイントは日当たりと水はけです。害虫などには強く日頃の手入れという意味ではあまり手はかかりませんので、比較的育てるのは簡単な植物です。
ジュズサンゴの育て方⑥冬の越し方
ジュズサンゴは熱帯地方の植物のため、寒さに弱く強い霜にあたったり気温が5℃以下になると枯れてしまうことがあります。根の部分が枯れていなければ翌春に芽を出してくれますが、気温が下がりすぎると根が枯れてしまいます。
鉢植えで育て、落葉させたくない場合は、気温15度を下回るころを基準に室内に取り込んでおくといいでしょう。
霜が降りるような寒冷地の場合は、冬には霜が当たらないように室内の日当たりなどに移してあげましょう。庭植えなどで移動が難しい場合は、土壌のマルチングなどの寒さ対策をしましょう。
マルチングとは、植えた植物の地表面を保温できるように対策することです。腐葉土やワラなどを敷き詰めて保温するといいでしょう。マルチングすることによって根枯れを防ぎ、もし地表面が枯れても根が枯れるのを防いでくれます。
ジュズサンゴの育て方⑦増やし方
ジュズサンゴの増やし方は比較的簡単で、種まきで増やすことができます。
種はジュズサンゴの果実が赤く色づいて柔らかく熟したころに身を収穫して、果肉をとり日陰でよく乾燥させてから春まで保管します。こぼれ種でも増えますが、寒さにさらされると発芽しない場合があります。
発芽には22℃程度の温かい温度が必要になりますので、春になってから種まきをしましょう。種は床まきで、種が隠れる程度に覆土は種が隠れる程度にしましょう。
温かい時期に種付けをするため、水を切らさないように注意し、明るめの日陰で育てます。あまりに乾燥させすぎると株が傷んで発芽しなくなることもあります。
また、種をまく以外にも株分けなどでも増やすことが可能です。土に指す部分の葉を取り除いた10cmほどの挿し穂を作り、しばらくの間水揚げをします。
春から夏にかけての温かい時期に葉をとった部分が土に埋まるように挿し木をすれば根付いてくれます。
害虫の心配はそれほどありませんが、ナメクジなどには注意が必要ですので、見つけたら駆除しましょう。
ジュズサンゴの管理方法を動画で解説!
ジュズサンゴの育て方【注意点】
注意点①実を食べない
ジュズサンゴはハーブに分類されていますが、インターネットなどでは有毒と書かれていることも多く、販売されているものにも食べないように注意書きがされていることが多くあります。
ジュズサンゴの果肉には、ベタレイン系色素という色素が含まれています。
ワインや菓子などの食品や織物の染料として利用されていると書かれている文献などもあるそうですが、目立った試食記事もなく虫や鳥なども食べている様子もないようです。
日本にある近縁種のヨウシュヤマゴボウも毒を持っていますので、実を食べるのはやめておいた方がいいでしょう。
注意点②霜
ジュズサンゴは寒さに弱く、温かい地域でなければ地上部は冬に枯れてしまいます。地上部が枯れても、地中の根が枯れていなければ温かくなると再び芽を出してくれます。
寒冷地などの場合は霜に何度も当たったり、土が凍結してしまうと地中の根が枯れてしまうので対策が必要です。寒冷地などでは、鉢植えなどに移し室内の日の当たる場所に移動させておくと安心です。
庭などに地植えをしていて、移動が難しい場合はワラや腐葉土などでマルチングする等で対策をしてください。
剪定も楽な鉢植えでジュズサンゴ栽培に挑戦してみよう
今回はジュズサンゴ(数珠珊瑚)の特徴や育て方、注意点についてご紹介しました。
きれいな赤い実がとても鮮やかな色合いで美しく、日本の庭にもぴったりなので庭全体を明るくしてくれます。白い花も彩りを添えてくれ、観賞用としても非常に優れています。
ジュズサンゴは強い植物であり、虫などもつきにくい植物なのでちょっとした工夫さえすれば初心者の方でも育てやすい植物です。
剪定しやすいように鉢植えなどで育てれば、初心者の方でも挑戦しやすい植物です。この記事の内容をよくご覧になって、是非ジュズサンゴの育成にチャレンジして、きれいな花や実を楽しんでください!