シノブとはどのような植物かご存知ですか?シノブとは、地面に根を生やして自生するのではなく、他の植物に着生することで自生する着生植物です。
そこで、シノブの特徴や水やり、肥料などの管理、育て方、シノブ玉の作り方などをご紹介します。
シノブの基本情報
シノブは、シノブ科の着生植物です。シノブは、着生植物のため、地面に根を生やし自ら自生することはできません。そのため、他の植物に着生して自生します。そんな、シノブの特徴や育て方をご紹介しましょう。
通常の植物のように、土の上での栽培は不可能ですが、水分の多い土やコケなどを使用することで、鉢植えで管理することが可能です。年を経るごとに根茎が渦巻くのが特徴で、蛇がとぐろを巻いているように見えます。
シノブの葉は、長い葉から短い葉へと変化するため、逆三角形のように生えるのが特徴で、これらの形を整えて盆栽のように楽しむことが可能です。シノブは、生長すると鉢を囲むように丸くなったり、岩にも着生できるので魅力的な植物として人気があります。
シノブの由来
シノブ科のシノブは、冬の寒さや真夏の暑さから耐え忍ぶ植物であることから、「シノブ」と名付けられました。
シノブは、着生植物ですが、艶やかな葉が美しいと夏の植物の中で人気があります。独特な葉の生長が特徴的で、盆栽にしたり、釣り鉢で育てたりして鑑賞する楽しみもあるのです。
シノブの特徴
着生植物のシノブは、自ら地面に根を生やして自生することはできません。しかし、他の植物に着生して自生することが可能です。そのため、独特な生長過程をたどります。
シノブは、水分の多い土や岩、コケなどに着用して自生するため、アイデア次第で面白い形に整えることができるのです。シノブの葉は、逆三角形のように葉の根元から先端にかけて変化しています。これらの特徴によって盆栽での需要が高まっています。
鉢植えで育てたシノブの根茎は、年を増すごとに蛇がとぐろを巻いたようにグルグル巻きになるのです。シノブは、艶やかな葉も魅力で密かに注目を集めています。
シノブの花言葉
シダ類のシノブは、花を咲かせません。しかし、シノブにも古くから伝わる伝説に基づいた花言葉があります。シノブの花言葉を下記の一覧でご紹介します。
魅力 ・ 魔法 ・ 神秘 | ヨーロッパでは、シノブの胞子を身に付けたり、食べたりすると不思議な力を持つと言われ、夏至の夜にシノブに手を触れずに胞子を集め、身に着けると姿が見えなくなる魔術をもつと言われています。 |
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幻想 ・ 夢 ・ 夢想 | 夏至の夜にシノブの花が咲くという言い伝えがあり、地中に花咲く黄金の花を見つけると、黄金を手にすることができるかもしれません。 |
正直 ・ 誠実 | フランスやイギリスで通用している花言葉で、綺麗な緑の葉を茂らせているシノブの姿に由来しているようです。 |
曖昧 ・ 不分明 | 胞子を身に着けることで姿が見えなくなるという言い伝えに関連しており、ハッキリしないという意味合いが込められています。 |
価値 | 昔、フランスではシノブを駆除薬として使用していたため、医学的な価値のある植物として認められています。 |
トキワシノブとの違い
シノブは、とても育てやすい植物です。しかし、常緑のトキワシノブとは異なり、冬の寒い季節には落葉します。シノブは、トキワシノブとは違って、落葉するため、枯れた葉はすぐに取り除くことが重要です。
また、市場に流通しているシノブと思われる植物は、トキワシノブがほとんどになります。トキワシノブの方が寒さに弱いため、霜に当たると枯れてしまいますが、シノブよりトキワシノブの方が常緑のため葉の色が濃いのが特徴です。
シノブの栽培のポイント
シノブは、冬に落葉して葉っぱがなくなります。シノブの管理は意外と簡単ですが、極端に乾燥させると葉っぱがポロポロと落ちる原因となるため、要注意です。
シノブは、冬に落葉しますが、寒さには強いため春には新芽を出します。しかし、乾燥には弱いため、特に春から秋にかけては水切れしないように注意しましょう。
可能であれば、葉っぱに霧吹きで水を吹きかける葉水を行い、常に多湿を心掛けることをおすすめします。しかし、冬は生育が止まるため、水やりは控えめにすることが重要です。夏は直射日光で葉焼けするため、半日陰がいいでしょう。
シノブの育て方【栽培管理】
盆栽や鉢植えとしても楽しむことができるシノブは、着用植物ですが管理の仕方はそれほど難しくありません。そこで、シノブの育て方・栽培管理の方法をご紹介します。
シノブの育て方①日当たり
シノブは、寒さにも暑さにも強い植物のため、日本全国に分布しています。毛の生えた太い根を樹木の幹や岩などに張り付くように生長して、三角の細かいレースのような葉を広げるのです。
しかし、直射日光は好みません。真夏は葉焼けする危険性もあるため、窓越しの室内や明るい日陰を選ぶといいでしょう。耐寒性があるため、-5℃までは耐えることが可能です。
シノブの育て方②用土
シノブを育てる際は、鹿沼土などの山野草用の用土を使用します。こちらの用土は、園芸店やホームセンターでも購入可能です。
さらに良い環境で育てたい場合は、コケを使用します。シノブは、着用植物のため、水分の多いコケを土の上に敷くだけで着生率がアップするのです。
シノブの育て方③温度
シノブは、耐寒性があるため低温に強く、-5℃までなら寒さに耐えることが可能です。しかし、-5℃以上冷え込むと枯れるため、気を付けましょう。
外の気温が5℃くらいになったら室内に移動することをおすすめします。また、10℃前後の気温になると生長は暖慢になるようです。
シノブの育て方【日々の管理】
シノブの育て方や管理の仕方は比較的簡単なので、初心者でも安心して栽培することができます。そこで、シノブの日々の具体的な管理の仕方をご紹介しましょう。
シノブの育て方④水やり
シノブは、気温によって水やりの方法が異なります。気温が10℃以上の場合は、土の表面が乾燥したらたっぷりと水やりをしましょう。
気温が10℃以下の場合は、土の表面が完全に乾燥してから2~3日後に水やりをします。しかし、葉水はおすすめです。毎日1回は霧吹きで行うと喜びます。
シノブの育て方⑤肥料
シノブは、基本的に丈夫な着用植物のため、肥料はほとんど必要ありません。元肥も追肥も必要ないのです。
しかし、シノブの生育が悪く気になる場合は、春から秋の生育期に、液体肥料を与えるといいでしょう。与える頻度としては、月に一度くらいのペースで十分です。
シノブの育て方⑥病害虫
シノブは、病害虫が付きにくい植物です。しかし、弱っている場合、ハダニやアブラムシ、カイガラムシ、ナメクジ、ダンゴムシ、バッタなどが付く場合もあります。
シノブに病害虫が付いているのを発見したら、すぐに取り除きましょう。病害虫の被害のある葉は取り除き、さらに虫が付く場合は、食器用洗剤を薄めて吹きかければ大丈夫です。
シノブの育て方【その他】
シノブを育てていくうちに、増やしたくなる人が多いです。そのような場合は、剪定したシノブを挿し木にする方法もあります。そこで、シノブの植え付けや挿し木、剪定方法、冬越しの仕方などをご紹介しましょう。
シノブの育て方⑦植え付け
シノブは、産毛の生えた根を伸ばすため、根っこが伸び過ぎな程長くなったら根っこをほぐして株分けをします。
ほぐして株分けした根っこを、新しいたっぷり水分を含んだ水コケで巻いて植え付けたら完成です。また、シノブ玉にした場合は、基本的に植え替えの必要はありません。
シノブの育て方⑧挿し木
シノブは挿し木でも増やすことが可能です。シノブの剪定した茎部分を10cmにカットします。カットした茎部分を水コケや肥料を足していない土に挿せば挿し木の完成です。
後は、茎から根が出てくるまで、乾燥しないように水やりをします。根が出たら植え付けるといいでしょう。
シノブの育て方⑨剪定
シノブは、冬になると落葉します。そのため、枯れて落葉しきっていない葉が枝に付いたままの場合は、すぐに剪定しましょう。枯れた葉をそのままつけておくと養分を吸い取られるため、元気に生長できません。
シノブの育て方⑩冬越し
シノブは、気温が10℃以下になると生長が暖慢になります。そのため、水やりを少なくする必要があります。
冬越しの際は、土の表面が乾燥してから、さらに2~3日後に水やりを行うと効果的です。また、-5℃以下になると枯れるため、5℃前後になったら室内に入れて育てるようにしましょう。
シノブ玉の作り方
シノブは、着用植物のため、コケに着用させて育てることができます。そこで、鉢に植えずに花器やお皿などのアレンジが楽しめるシノブ玉の作り方をご紹介します。
シノブは乾燥に気を付ければ育てやすい植物
シノブは、独特な味わいの盆栽が楽しめる着用植物ですが、乾燥に気を付ければ簡単に育てることができます。三角形の葉を自分好みに形を整えて行けるのも魅力です。また、シノブ玉に挑戦してみてもいいでしょう。