初夏にきれいな丸い花を咲かせるオオデマリをご存知ですか。オオデマリは害虫も少なく剪定もそれほど必要のない育て方の簡単な花で初心者にもおすすめです。
ここではオオデマリの特徴や育て方、挿し木や取り木を使った育て方など詳しく解説しています。
オオデマリ(大手毬)とはどんな植物?
白やピンクの丸いボール状の花を咲かせるオオデマリ(大手毬)を見たことはありますか。見た目もかわいらしく育てやすいのでガーデニングにも人気の花です。ここではオオデマリの特徴や花言葉を解説していきます。
オオデマリの特徴
オオデマリは初夏の4月中旬から5月になると白やピンクの丸いボール状のかわいらしい花を咲かせます。オオデマリはヤマデマリが装飾花になったもので英名ではジャパニーズ・スノーボールと言われています。
日本では本州以南から九州にかけて見ることができます。2センチ程度の花が集まることで10センチ程のボール状の集まりになります。
暑さや寒さに強く丈夫で、自然樹形も美しいので剪定の手間もそれほど必要なくとても育てやすい花です。
オオデマリの主な種類について
オオデマリの主な品種は「ロサケ」と「メリーミルトン」です。「ロサケ」は新しい葉は銅葉できれいな品種です。葉は成長していくと濃い緑色に変化します。また枝別に色と薄いピンクの装飾花が咲く珍しい品種で人気も高いです。
「メリーミルトン」はピンク色のきれいな花が咲きます。開花するにつれて花の色は淡いものに変わっていきます。
オオデマリの気になる花言葉
オオデマリには「優雅なたしなみ」、「私は誓います」、「華やかな恋」という花言葉があります。マットな白い花は純潔のイメージがあり、結婚式にもぴったりです。
また「天国」という花言葉もついていて、オオデマリの幻想的なイメージから来ています。白くて美しく、豪華な見た目からこのような花言葉がつけられました。
オオデマリの上手な育て方【栽培】
オオデマリは丈夫で育てやすく、ガーデニングにも人気の高い花です。ここではオオデマリの育て方を詳しく紹介していきますので、オオデマリを育てるときの参考にしてください。
育て方①環境
オオデマリは日当たりがよく、水はけのいい場所を好みます。しかし適度な湿気を好み、乾燥を嫌うので、西日が強く当たってしまう場所は避けたほうがいいです。
また、オオデマリは枝を横に広げながら育つため、丈と横幅が必要になります。このことから鉢植えよりも地植えのほうが向いています。
育て方②土作り
オオデマリは丈夫で育てやすいですが、できるだけ肥料分を含んでいる用土を使って育てるようにしましょう。腐葉土の割合が多く、適度な湿気を保てるように水持ちの優れている土が向いています。
育て方③植え付け
オオデマリは地植えが適していますが、鉢植えでも育てることはできます。地植えと鉢植え、それぞれの植え方を見ていきます。
地植えの場合
3月か4月の暖かくなり始めの時期がオオデマリを植えるのにちょうどいい季節です。しかし寒い時期以外であれば植え付けできますので、そこを逃してしまっても真冬を避ければ植えることはできます。
夏の直射日光や西日はなるべく避けた日当たりのいい場所が地植えに適した場所です。成長することで横に大きく広がる傾向があり、3メートルから4メートル程度広がっていくので、それくらいの幅を確保できるといいでしょう。
腐植質の多い肥えた土を好み、水はけも重要になるので植穴を掘ったら腐葉土を2割程度混ぜた土壌を準備しておきます。土を被せて苗が不安定なようであれば支柱を当てて根を張るまで支えておくといいでしょう。
鉢植えの場合
鉢植えの場合には株よりも一回り大きな鉢を用意してください。鉢底石を敷き、その上に用土を三分の二程度入れたら苗の植え付けをします。成長して枝が伸び、バランスをとるのが難しくなってきたら地植えに変更します。
育て方④水やり
オオデマリは湿気を好み乾燥は苦手としています。鉢植えの場合には土の表面が乾いたら水を与えます。地植えの場合にはあまり意識してあげる必要はなく、自然の雨だけでも育っていきます。
しかし、しばらく雨が降らずに長期の日照りが続くことで地面が乾いてしまうようであれば、たっぷり水やりをします。
冬になり葉っぱが落ちると休眠期になりますが、この時期にも定期的に水やりをしておくことで春に新芽が出やすくなります。
育て方⑤肥料
5月から6月になるとオオデマリの花が咲き終えます。その頃になったら固形の油粕などを使って追肥をしましょう。また地植えをしている場合、土が古くなってくると土が固くなり、湿気を保ちにくくなります。
冬になったら株の周りを掘って腐葉土を混ぜ込んであげます。こうすることで柔らかくて栄養のある状態にすることができます。この時効果の持続する緩効性肥料を与えるのもいいでしょう。
鉢植えの場合には、葉が落ちた11月頃に固形肥料を追肥として与えます。
オオデマリの上手な育て方【手入れ】
育てやすく初心者でも気軽に挑戦しやすいオオデマリですが、育てる際にちょっとしたポイントもあります。ここではオオデマリを上手に育てるコツを紹介します。
手入れ①冬越しと夏越し
オオデマリは暑さに強いので特別な夏越しはありません。しかし極端な乾燥には弱く、酷暑で日照りが続くなど、地面がかなり乾燥した場合には水をしっかり与えるようにしましょう。また強い西日も避けるのがおすすめです。
また寒さには、さほど弱くないので、冬越しも難しくありません。オオデマリは落葉樹なので紅葉が終わり、冬になると自然と葉が落ち休眠期に入ります。しかし冬場も定期的に水やりをしておくことで春に新芽が出やすくなります。
手入れ②植え替え
真冬である1月は植え替えを避けます。落葉中に植え替えを行うので11月か12月に植え替えを行うようにします。2年から3年に1度は株を取り出して一回り大きな張りに植え替えるようにします。
しかし2年に満たない場合でも、鉢と株の大きさのバラン図が悪くなった場合には地植えに移行したほうがいいでしょう。
手入れ③剪定
オオデマリを育てる広さに余裕があるのであれば、特に意識して剪定を行わなくても自然樹形で育てたほうが花付きがよくきれいに育ちます。枯れてしまった枝や、混みあいの気になる枝があれば剪定する程度で大丈夫です。
剪定する時期は6月くらいの花の後にすぐに行います。秋以降に剪定する場合には来年の花芽を落としてしまう可能性があるので、できれば控えたほうが無難です。
枝は古くなるとだんだん花付きが悪くなってきますので、古くなった枝は剪定してもいいでしょう。その時には全体のバランスを見ながら、枝分かれしている部分や根元から切り取るようにします。
手入れ④増やし方
オオデマリは装飾花で種を付けることはありません。そのため3月から6月にかけて挿し木や取り木で増やしていくのが一般的な方法になります。では詳しい増やし方を紹介します。
挿し木で増やす
今年伸びたばかりの新芽を挿し木として使います。枝を5センチから10センチの長さに切り、枝についている葉の上半分を切り落とします。
1時間ほど切り口に水をつけておき、水揚げをします。水揚げが終わったら、赤玉土用土に切り口を差し込み、乾燥しないように水やりを行います。1か月程度で発根しますので、そしたら地植えしましょう。
取り木で増やす
取り木は仮に失敗しても親株を枯らす心配も少なく、初心者にも挑戦しやすいおすすめの増やし方です。取り木をするときには勢いのいい枝を選ぶと成功しやすいです。
まず増やしたい枝を選んだら、硬い芯の部分を残して樹皮の部分を2、3センチぐるりとはがします。はがした部分に湿らせた水苔を貼り付けます。
水苔の上からポリ袋を被せ、とれないように上下をゴムなどを使ってしっかりと固定しておきます。水苔が乾燥してしまわないように水やりを行い、根が十分に伸びたところで親株から切り離し地植えします。
オオデマリの上手な育て方【注意点】
オオデマリを育てるにはどのようなことに注意すればいいのでしょうか。ここではオオデマリを育てるときの注意点を2つ紹介します。
注意点①病気
オオデマリは褐斑病やうどんこ病にかかってしまうことがあります。うどんこ病になると葉の部分に白いカビがつきます。これは風通しの悪いことが原因となっていますので、剪定をおこない風通しを良くしましょう。うどんこ病は春から秋にかけてなりやすい病気です。
褐色病は葉に褐色の斑状のものがつく病気です。大きな被害はありませんが、早めに殺菌剤を撒くといいでしょう。
注意点②害虫
カイガラムシ、サンゴジュハムシなどの害虫に注意が必要です。風通しが悪いとカイガラムシが発生しやすいので、枝の密集している部分は適度に剪定を行うといいでしょう。
サンゴジュハムシは発生すると葉を食害します。サンゴジュハムシの幼虫を見つけたら捕殺して展葉したら、殺虫剤を撒きます。
また、アブラムシも大量発生すると排せつ物がすす病の原因になりますし、枝や幹について栄養を吸い取ってしまうので、害虫は早めに駆除するようにしましょう。
白くて美しいオオデマリの花で庭を飾ろう
オオデマリは見た目も美しく、丈夫で育てやすい初心者にもおすすめの花です。ガーデニングスペースに余裕があれば、新しくオオデマリを植えてみてはいかがでしょうか。それほど手間を掛けなくても、初夏になればきれいな花を見ることができおすすめです。